「ちょっ ちょっと待って下さい!
私はあの湖に入ってはいけないなんて知らなかったんです!
それに、最初から知ってたら入ったりしなかった…!」
慌てすぎて一歩前へ出た私を、隣の兵が止める。
「……何を言う、異界の娘の分際で!
我が君の褥に入りそなた何をしていたのです!
シオン様はわたくしの婚約者ですよっ それを、そなたのような女が!」
「…姫。もうよい」
「しかし…!」
「婚約の話はあくまで仮定の話だ。お告げがあったと言って神官達が勝手にそう話しているにすぎない。
それよりも」
「国王様!
わたくしとシオン様の婚姻は神の啓示でございます!
国王様は神の使いである神官の言葉を軽んじられるおつもりか…!」
国の王様に向かってすごい剣幕で返す彼女に、誰も何も言えない。
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