―――銀の竜。 月の光を帯びた、銀糸の髪。 そして、深い深い海の青……… それが、異世界にただ一人。 降り立った私が唯一感じられる、心の―――… 「―――シオン様!」 私が眠る中。 ガーデンから出て行ったはずのマーサが、息も切れ切れに扉を開け叫んだ。 「一大事でございます! 王命が下りました! 娘を差し出せと…!」 ………私は、忘れていた。 自分が異世界の 囚われの身であることを――― .