* 竜の眠る国 *







「まぁまぁ!シオン様!
 びしょ濡れでどうなさったのです!」



 彼に抱きしめられてホッとしていると、マーサが顔を真っ青にしてこちらに来た。



 私は慌てて彼から離れようと体を起こすけど、

「マーサ、白湯と薬師を呼んでくれ」


 そう言って、彼は私を抱き上げた。



「ユウナ…?!
 顔が真っ青だわ…!すぐ用意を!

 ナタル、薬師をここに!」



 彼の腕の中にいる私に気づき、マーサは慌てて部屋へと入っていった。




「ユリアン」

「はっ」


「視察の時間をずらす」


「承知いたしました。皆に伝えます」



 王子の呼び掛けにすぐさま返事が返った。

 見ると、カーテンの向こうであるけど、ユリアンの立ち去るシルエットが見えた。


 私は自分の姿を思い出し、慌てて体を丸める。