* 竜の眠る国 *





「―――っ!?」


バシャンッ



「おい…っ」



 ―――瞬間、息を忘れた。




「ごほっ…」

「水を吐き出せ!」

「ごほっ……ハァ…」


「よし……ゆっくり息を吸って、」



 怖くて、抱き寄せる手にしがみつく。



「……ふっ……ふぇ…」


「大丈夫だ。もう大丈夫だから……泣くな」




 頭を撫でる手は優しくて。


 彼の胸に体を寄せれば、大切そうに、優しく抱き締めてくれた。



「君はよく溺れるな」


 くくっと笑い、それから安心したのか、大きく息を吐いた彼。




 何故だろう。この腕に安心する……。