* 竜の眠る国 *







「さぁ、これでいいでしょう。

 隣の湯に浸かりなさい。温まるわ」



 最後に泡を流し、マーサは薄布を私に着せると隣の湯船へと案内した。


 色とりどりの花で一杯の浴槽に足を入れると、湯加減がちょうど良い温度で。

 あまりの気持ちよさに、ゆっくり体を沈めていった。



「しばらく一人になるけど大丈夫かしら?

 私とナタルはドレスと部屋の片づけをしてきます。

 ゆっくり体を温めなさい」


 マーサは言って、ナタルを連れ部屋へと戻っていった。





 私は、湯船に浸かりながら空を見た。


 天井のない屋外でのお風呂は初めてで、正直、最初は落ち着かず、ただただ恥ずかしいだけだったけど。

 一人になり、雲一つない空と鳥の鳴き声。
 優しい風に揺れる純白のカーテンと花の香りが、私を癒してくれた。