* 竜の眠る国 *





 思い出した瞬間、なぜか頬が熱くなった。


 と同時に、数日前の、“姫”と呼ばれていた女の子とのキスシーンが頭に浮かぶ。



 ………私のトキメキ返して。




 シオンへの感情は色とりどりで。

 私自身、自覚症状が全くなくて、この想いを一言で表すなら、“不愉快”としか表せない。



 この感情に名前が付くのは、もう少し先の話…―――



「さぁ、夜着を脱いでしまって。
 こちらに入ってちょうだい」


「え…う、わぁ――っ」



 扉が開くと、そこは屋外になっていて。

 ギリシャ遺跡のような、柱に四角く囲われた場所に湯船が二つ並んでいた。


 一つは泡で溢れた湯船。

 もう一つは、色とりどりの花で埋もれた湯船だった。