* 竜の眠る国 *







「たとえそうだとしても。

 どんな理由であれ、嫁入り前の娘の閨に入るなんて、許されませんわ。

 ましてや、この娘は…」


「―――わかりました。

 私が悪かったです。

 ですからどうか許して下さい」



 マーサの言葉を遮り、ユリアンは降参とばかりに両手を上げ、申し訳無さそうに謝罪の言葉を伝えた。

 が、まだ言い足りないのか、彼女はさらにお説教を続けた。




 言いがかりに近い今の状況に助け舟を出そうと口を開いた瞬間―――


 扉が開く音がした。





 三人、扉の方に目をやると


「何をしている」


 聞こえた声に、一瞬で体に力が入る。




「シオン様」



 さっきまでのやり取りが嘘のように、ユリアンは流れるような動作で一礼した。