* 竜の眠る国 *







「目が赤い」



 言われて顔を上げると、ゆっくり近づくその瞳に、吸い寄せられそうになった―――



「王子」



 それを止めたのは、カーテンの向こうからの声。




「……ユリアンか」


 シオンは一度目を伏せると、私の手を離した。



「国王がお呼びです」

「異世界の娘のことであろう?」



 私を見ることなく立ち上がり、勢い良くベッドのカーテンを開けユリアンの元へ行く。


 ベッドからは、カーテン越しに彼のシルエットが見えた。