「名前をずっと呼び続けていた。 “カイン”と…」 表情変えないままの青い瞳が私を映し出し、言葉が出ない。 そんな私の手を掴み、引き寄せた。 「……っ!」 その至近距離に、声にならない悲鳴が出る。 「眠りながら、ずっと泣いていた」 掴む手は強いのに、頬を滑る手は優しくて。 私を見る青い瞳に、戸惑う。 「怖い夢……見たから」 「どんな夢を?」 「家族が……私に気付かないの。 誰一人……」 言いながら思い出して、涙が出そうになった。 .