*.遠い恋.*

「大塚さん!こんなに慌てて…何かあったんですか?」

声がした方に振り向くと、昨年入ってきたばかりの新入社員、栗山尚麒(くりやま なおき)君が私の所に駆け寄ってきた。

栗山君は、社内の中で、結構モテている方で、しっかり者で優しい。

初めて会った時は、私が重い書類を持っていた時に栗山君が助けてくれたんだっけ。
あの時は、びっくりしたぁ。こんなイケメンいたっけ?って。


「あぁあ、ちょ、ちょっとね。編集長に用があってね!」


あぁぁあ!!
編集長に、潤椰の事とか話さないといけないのに、どうしてタイミングが悪い時に栗山君と会うかなぁ!!
しかも、編集長、いつもの席にはいないから、探さないといけないのにいぃ!!

「あ、編集長なら、屋上にいましたよ。」

栗山君が、普通のように言ってきた。

「えっ!!屋上!?」

ここから屋上…。
この会社は20階建てで、現在地が12階…

やばっ!!急がなくちゃ!!

「分かった!!!!!ありがとう!!!!」

慌てながらも、ちゃんと栗山君にお礼を言い、全力疾走で屋上へと向かった。