こんな雨の日に、私は初めて、血の繋がらないひととキスをしたのだった。今でも毎週通う教会で、幼馴染みの男の子と。その子は、仲間内では一番大人びていて、いつも難しそうな本を抱えていた。蜂蜜色の髪に、碧い瞳をしていて、太陽と、空のようだと幼心に感じたことを覚えている。
確か、友達のところへ遊びに行った帰りに、雨が降りだしたのだ。急いで教会に駆け込んで、雨が止むのを待っていた。やまなければ、きっと父が様子を見に来るだろう。前にも似たようなことがなんどかあったから、きっとそうだ。そう思って椅子に腰掛けていた。その時だった。教会のドアがバタンと開いて、その向こうに、金髪に雨粒を滴らせたそのひとが息を切らして立っていたのは。私の姿を見つけると、そのひとは笑顔で近づいて来て自然と私の隣に座った。