浅い眠り。
熱に浮かされた頭で何度も思い出をなぞった。苦しくて、そうしていないと自分ごとすべて消えてしまいそうな気がしたから。
3日経って、ようやく熱が下がった。ほとんどなにも口にせず寝ていたせいで、足取りがおぼつかない。壁を伝いながら玄関の扉を開いた。
そこに広がる世界に息を呑む。それは、あまりに美しかった。抜けるように青い空。木の葉は紅や黄に色付いて、風に舞う。そうだ、もうすぐ冬なのだ。生きとし生けるものが眠りにつく前の、最後の輝きを放っている。命の証を私の目に焼き付けるように輝いていた。
菩提樹の木の下に腰掛ける。その幹に耳を当てると、命の息吹が聴こえるような気がした。
生きていける。大切なひとたちは、帰って来ないけど。また、誰かを、なにかを愛せる。懸命に生き抜く力をまだ持っている。何度疲れて倒れようと、きっとまた世界の美しさに気付いて、救われて、立ち上がれる。
そして、思い出たちも、いつかは私を支える糧となってくれるだろう。
熱に浮かされた頭で何度も思い出をなぞった。苦しくて、そうしていないと自分ごとすべて消えてしまいそうな気がしたから。
3日経って、ようやく熱が下がった。ほとんどなにも口にせず寝ていたせいで、足取りがおぼつかない。壁を伝いながら玄関の扉を開いた。
そこに広がる世界に息を呑む。それは、あまりに美しかった。抜けるように青い空。木の葉は紅や黄に色付いて、風に舞う。そうだ、もうすぐ冬なのだ。生きとし生けるものが眠りにつく前の、最後の輝きを放っている。命の証を私の目に焼き付けるように輝いていた。
菩提樹の木の下に腰掛ける。その幹に耳を当てると、命の息吹が聴こえるような気がした。
生きていける。大切なひとたちは、帰って来ないけど。また、誰かを、なにかを愛せる。懸命に生き抜く力をまだ持っている。何度疲れて倒れようと、きっとまた世界の美しさに気付いて、救われて、立ち上がれる。
そして、思い出たちも、いつかは私を支える糧となってくれるだろう。



