「…」

そうか、あの日からもう10年が経とうとしているのね…

10年前の誕生日、私は死にかけていた。でも助かったのは、アイツと契約したから…








――10年前――


「はぁ…」

今は元気だったが、昔はとてつもなく病弱で、何回も入退院を繰り返し、検査をして薬を何錠も飲み、点滴を打つ毎日だった。

そんなとき、神様の使いと名乗る人物がやって来た。

「こんばんは、お嬢さん」

「わっ!だ、誰…?」

「これは失礼。…そうね、私は神様の使い…かな?」

「神様!?すごーい、お姉さん神様の近くにいるんだね!」

それでも私が挫けなかったのは、絵本で見た神様がいつか私の体を治してくれる、と信じていたからだった。

「ねぇ、貴女は神様が居ると信じてる?」

「かみ…さま?…うん、神様はきっといるよ!」

「そう、優しいわね…じゃあ、その神様に裏切られたらどうする?」

当時は信じていた神様に裏切られたら?という質問を受けた私は迷いに迷った結果、こう言った。

「…泣く、かな?」

「ふふ、素直なのね。…貴女は、自分の体を治して欲しい?」

「治して欲しい!」

「…そう。そう言えば明後日は貴女の誕生日なんだってね?ふふっ、その願い叶えてあげるわ」

「本当に!?」

「えぇ、でもこの事は皆に内緒よ?」

「うん、内緒にする!」

「…ふふ、約束」


―――確かに私の体は治った、でも私が13歳になった日、アイツは再び現れたんだ。