「それと、もう一つ…」

妄想と違うことを言った俺に対し、不服そうな顔をした日菜子の目の前に、
チャリンと音を立てて一つの鍵を差し出した。



「…え?何、これ」

「鍵。俺んチの」

「え?…なん、で…」

「持ってろよ。合鍵」


また、日菜子は涙を流す。
「こんなのあたしの妄想話しに入れてないじゃん」と、鼻を啜りながら。



「妄想もいいけど、少しは俺のことも見ろよ」


悪戯っぽく言ったあと、日菜子は俺に抱きついた。
「大好き」という言葉と共にーー




時計は、0時を指した。
寄り添って眠る俺たちの手には互いにはめられたシルバーリング。



また明日から日菜子の妄想を遂行する日々なんだろう。

でも、まぁ。良いか。
日菜子の妄想話しに、付き合ってやれるのなんて俺くらいだからな。


これこそ、日菜子に対する究極の、
ーーー愛だろ?





妄想ガール★ドキドキXmasラブ
ーFinー