唇が離れると「はぁ」と息を吸った。
お互い、見つめ合って微笑む…その時間が堪らず嬉しかった。



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「ねぇ、サトル?早く行こうよ」

ソファーに2人で座ってケーキを食べていると、痺れを切らしたように日菜子が言った。


「は?どこに?」

「んもぅ!口にクリーム付いてるっ!
どこに?って…夜景の見えるホテルよ」



ああ。と、俺はまたケーキを一口、口に運んだ。
そして、窓の外を指差す。



「そこに夜景あるだろ」

「え?え?」

「窓の外っ」

「え?……はあぁぁあ?」


ようやく状況を理解した日菜子がだらしない声を発した。
その声に「ぶっ」と思わず吹き出しちまった。



「夜景の見えるホテルは!?シャンパンは!?」


日菜子の声がどんどん大きくなっていく。
そりゃあ“お前の望むクリスマス”をやってやるって言ったんだから、期待もするだろうな。

バカみたいにド派手なドレス着ているし。