「日菜子、ごめんな。あの時、日菜子は俺のこと元気付けようとしてくれんだよな」

グスっと、日菜子が鼻を啜る。
そして、小さくウンと頷いた。


「日菜子、ありがとう。そして、自分勝手でごめん」

次は、小さく横に首を振る。



「日菜子…」

肩をもって振り向かせた日菜子は、涙を流して泣いていた。



「…サトルが、怒って嫌だった。
追いかけて来てくれなかったの、嫌だった…嫌だったよ、サトーー」


言い終わる前に、日菜子の唇を塞ぐ。
「んん」っと、小さな声が漏れた。


華奢な日菜子の体は、俺の体にすっぽりと収まって。

キャンドルの光と、窓から入る月明かりが幻想的で…


ーーとても、とても、愛おしかった。