いつもなら玄関扉に付いているカーテンの隙間からランプの光がもれて足元を照らすのですが、今日に限りその光がありませんでした。
ミリアンは不思議に思い、玄関扉をそっと開けます。

「ルル? いないの?」

ギシギシと床が軋む音をたてながら、ゆっくりと部屋の中へ。
窓から入り込む月の明かりだけに照らされた部屋は、まるで影の世界のように思えました。