「昔話をしてやる」
「え?」
突然猫が言い出し、私の返事を聞かず話し始めた。
「昔、ここで内戦があったことは知ってるだろ?」
「うん…」
「それで、俺の両親はトランプ兵に誘拐されたんだ。」
「!」
猫は私のびっくりした顔を見て続ける。
「…今も、帰ってきてねぇ。もう死んだんじゃねぇかと思ってる。」
「そんな…
い、生きてるよ…きっと…」
「それはどうでもいい。…それで、俺の親父の親父…つまりじいさんだな。じいさんが、もうトランプ兵には屈しないって、誓いをたてたんだ」
「そうなんだ…」
「ちなみに僕も、トランプ兵とは関わりをもてません。」
…それにしてはフレンドリーに話してたじゃない…
「…まぁ、白兎は内戦の先頭だったからな…
そんなわけで、俺は家族を奪ったトランプ兵を恨んでるし、嫌いだ。だからアイツら…女王も含めて、にはぜってぇに頼らねぇんだ。
…たとえ、こっちにつきたいっつっててもな」
「…」
内戦は、女王達と住人達の間に、深い溝を作ってたんだ。
「どうして内戦なんか、起きたの?」
私の問いに、白兎が答える。
「血が薄れるというのは、女王の国へ対する気持ちが薄れた証拠だからです。」
「女王様の…?…だって女王様は、この国を元に戻したいんでしょ?」
「今は、ね。
現に、今の僕らの血は薄れている。
だから、それを元に戻すために…一旦、リセットしなければいけません。」
「リセット…?」
今度は猫が口を開いた。
「要するに、皆殺しだ」
「皆殺し…!?」
白兎がうなずく。
「だから、彼らは殺されまいと…女王にはむかい、内戦が起きたのです。そして、今まで女王の気持ちは国から離れたままだったのですが、最近国を思う気持ちが戻ってきています。
…つまり」
白兎が人差し指を立てて言う。
「『リセット』の開始を意味します」
「…じゃあ」
「そうだな…また、起こるのかもな。」
悲劇が
惨劇が
この国に?
「…とめなきゃ」
「…そうだな。
俺みたいなやつ、これ以上増やしちゃいけねぇ」
「ですね。それでは改めて向かいましょう」

いざ、女王の元へ!