「さぁ、参りましょうか。」
「そうね、あなただけ」
「え?」
兎の笑顔が引きつった。
「アリス?まだこちらにご用があるんですか?」
「うん。白兎を探さなきゃ」
「目の前に居るじゃないですか」
「ううん、居ない」
否定すると、兎ははぁ、と溜め息をついた。
「暗い中を歩いてきて、気でもふれたんですか?」
「白兎は確かに失礼だけど、そんな風に言わないわ」
「…。…アリス」
「それに」
私は白兎の顔を指差す
「帽子屋さんからもらった傷がないわ」
「…」
黙りこくる白兎…モドキ。
「それじゃあ」
私はもう一度白兎を探しに歩く。
確かにでき過ぎだもん。
こんなに早く見つかること、あるわけない。
しかもこんなに都合よく。
「ククッ…」
「?」
笑い声がして、私は思わず振り返ってしまった。
「!!」
「バレてしまいましたねぇ…ククッ、ククククク…」
そこに居たのは、紛れもなく…刃物を構えたトランプ兵だった。
ただ、今までみてきたトランプ兵と違うのは、スーツが白であることと

瞳が濁っていない事

それが何を意味するのか、私には考え付かなかった。