うーん…
困ったなぁ。
今まで適当に歩いてきたけど、帰り道わかんないかも…
兎が見つかっても、道がわからなくて、永遠に2人でここを彷徨うの…!?
…いや、まてまて…
兎はもしかしたら覚えてるかも…!
…あ、でも…気絶させられてたら…
……。
なんか目印でもしておくんだった…。
「…どうしよ」
でも、とりあえず探す事が優先だよね。
私は、よしっと気合いを入れ直した。

「兎ー、白兎ー!」
呼び掛けながら探してみる。
「…」
うーん、そう簡単に見つからないかぁ…
「しーろーうーさーぎー」
「そんなに大きな声をださなくてもよろしいですよ」
「そう?…えっ?」
い、今の声って…
ど、どこから!?
「そこ…目の前の角を左に曲がってください」
言われるままにまがると、そこには
錆びた鉄格子がずらりと並ぶ廊下があった。
そのひとつに、白兎が囚われていた。
「鍵はそこにかかっています」
ギリギリ腕を通せるくらいの隙間から手首から上を出し、鍵を指さした。
隣りの鉄格子との間にかかっているみたい。
これじゃあ取れないよね…
「今開けるから、待ってて」
私は小走りで兎の居るところへ向かい、鍵を開けた。
「いやぁ、助かりましたよ…本当に。」
出てきた白兎の服は汚れてて、顔も泥が付いている。
「…大丈夫?」
「ええ、別に慣れてるので平気ですが…恨んでいる事は確かです。」
な…慣れてる?
……。
まぁ、でも…
「いつも通りの白兎でよかった…」
「気が狂ってしまうとでも思いました?」
くすくす、兎が笑って
「うん…」
やっぱり、違うと思った。