ピピ、ピピッ

家に帰ってしばらくするとケータイの着信音。

月見里君に貸してもらった数学がテーマのミステリー小説を脇に置き、ケータイを手に取る。

メール。

月見里君から。

『今日、部長怖かったね。理恵ちゃん、今何してる?』

どうでもいいような、雑談。

でも、胸がきゅんっとした。

『はい、怖かったです。月見里君に貸してもらった本を読んでましたよ。あなたは?』

こんなメールをするのは初めてで、少しぎこちない。

『面白いかな?数学だし、気に入ってくれると思ったんだ!僕は宿題してる。数学、難しいから教えてくれる?』

本のチョイスにも気を使ってくれたんだ、と嬉しくなる。

少し気にかけてもらえるだけで、ドキドキする。

『面白いです。ありがとうございます。どんな問題ですか?』

私の数学馬鹿が役に立てた。

そんな喜びと共に夜は更けていった。