理系彼女と文系彼氏(旧)

「むしろわかんないと思われたのが不愉快だよー。何年の付き合いだと思ってんの?いいよ。誰も怒らないと思う。あれは勝っちゃあ駄目っしょ」

理系の先輩たちも悔しい、と言いながらもどこか安心したような表情をしている。

ここで一年が勝っちゃったらいくら同じ理系だとしても面目が保てないもの。

「どっちかって言うとあたしは理恵が本気出すの我慢できたのにびっくり。負けず嫌いなのに」

「失礼。そこまで負けず嫌いじゃない」

あはははー、と笑いながら菜穂が駆けて行く。

閑話休題。

準優勝おめでとう。

「菜穂、準優勝おめでとう」

「えへ、ありがと蓮。さりげなく蓮のクラスも倒しちゃったけど」

お昼休み。

バカップルと一緒にお弁当を食すると言う拷問方法を私は提案したい。

「気にしてねえよ。つったら嘘になるか。まあ、悔しいけど菜穂と水橋たちの頑張りの成果だしな」

いきなり話を振られる。

口に頬張っていた卵焼きを無理矢理飲み込んで答える。

「ん、はい。ありがとうございます」

「午後はずっと応援だねー。理恵、月見里見に行く?」

「え、んー。どうしよう」

「見て損はしねえよ。あいつのバスケは芸術だ」

せっかく先輩がすすめてくれるんだし、と私達は月見里君のバスケを観戦しにいくことになった。