理系彼女と文系彼氏(旧)

なんの情報も得られないまま私は理系クラスの待機場所に帰った。

でも、月見里君からの話ってなんだろう。

深刻な顔してたんだけど、大丈夫かな。

まあ、いいや。

とりあえず今は計算に集中しなきゃ。

「理恵?今日の打ち上げ、参加する?」

「いや、無理。月見里君に呼び出されてる」

その言葉に菜穂の瞳がきらっと悪戯っぽく輝く。

驚くほどに藤堂先輩にそっくり。

「うんうん、恋しちゃった?」

だから、この子は。

「しない。菜穂、ふざけないで」

しゅん、と落ち込む菜穂に罪悪感。

言い過ぎちゃったかな?

少し心配になったけど、問題はなかったみたい。

すぐに、顔をあげて言う。

「理恵。あんたが恋愛したくないってワガママ言っててもあんたを好きになって傷つく人がいるの、忘れちゃダメよ?」

厳しい言葉。

ずき、と心臓に刺さるような辛辣さ。

でも、心っから私を思ってくれている大親友の言葉。

「ほーら。泣きそうな顔しないの。あんたは監督なんだから、しゃんとしなさい」

わしゃわしゃと乱暴に頭を撫でる仕草は何故だろう。

月見里君に似ていた。