理系彼女と文系彼氏(旧)

「うん。いくら理恵ちゃんのいる理系クラスでも負ける気はないからね。お互い、頑張ろ」

不審気な顔をするも笑顔で答えてくれる。

こ、ここは当たり障りない会話を。

「月見里君って、バスケ部だったんですね。どうりで上手いです」

すっと月見里君の顔から笑みが消える。

ま、不味いこといっちゃった?

「あぁ、うん。そだね。ありがと。誰に………いや蓮先輩だよね」

あの野郎、って月見里君らしくない不穏な台詞が聞こえるんだけど。

「あのー?月見里君?」

不安になって声をかければ、

「あー、もうっ」

と、大きな声で言って再び笑顔になる。

「ごめんっ!理恵ちゃん。僕ね、理恵ちゃんに隠してた事があるんだよ。球技大会終わったあと、時間あるかな?」

真面目な顔。

整った顔でそんな表情されてしまうとどぎまぎしてしまう。

「え、はい。あります、けど」

答えた瞬間、大きく頭を下げられる。

「ほんと、ごめんっ。ずっと言わなかった僕が悪いんだけど、正直まだ話せるかわかんない。でも、好きになった理恵ちゃんには話しておきたいんだ。聞いてくれる?」

「あ、謝らないでください。聞きます、聞きますから」

ばっと上げた彼の顔は悲痛に歪んでいて。

「ありがとう。じゃあ、またあとで」

そう笑顔を形作ると去っていった。

「………………あ、本題忘れた」