「こんな日に限って、暑いわねー」

本番当日。

七月上旬だというのに今日は真夏のような暑さ。

「体調崩す人がいないといいけど」

菜穂の心配は的確だ。

ここまで暑いと熱中症の人が出てもおかしくない。

「まあ、ベストを尽くそうね。菜穂」

私はドッチボールだけだけど。

「了解!か、ん、と、くっ」

私は計算係。

計算係なんて役職は理系にしかないので私は監督の役職として登録されている。

「おっ!はよ、水橋。お互いに頑張ろうな、菜穂」

理系クラスの待機場所に行くと藤堂先輩。

本日も爽やかだ。

「藤堂先輩、サッカー頑張って下さいね」

バスケ部、サッカー部それぞれに所属する生徒はその競技には参加が出来ない。

だから、藤堂先輩はサッカー。

時間の関係で見に行けない、と菜穂に散々ぼやかれた。

「おお、任せとけって」

頼もしい。

「んじゃ、理恵。文系の偵察に行ってらっしゃい」

「うん…………、行ってくるね」