「うんー。ね、理恵ちゃん。これ、もらっていーい?」

まだ、未完成なんですけど。

「描き終えたらあげます」

「ほんと?ありがと、理恵ちゃん」

ぎゅっと抱きつかれる。

「月見里君?寝惚けてます?」

「寝惚けてないよ。行こ、理恵ちゃん」

手を繋がれて私達は美術準備室を出た。

そして、球技大会の前日。

私達は最後の練習に取り組んでいた。

競技は全部で3つ。

サッカー、バスケットボール、ドッチボール。

午前中は男子サッカー、女子バスケットボール。

午後になると男子バスケットボール、女子サッカー。

締めがドッチボール。

私は基本的には裏方。

ドッチボールには出なきゃいけないけど。

「理恵ー?ここ、どれくらいの強さがいいー?」

「ちょっと待って」

菜穂の運動能力、ゴールからの距離を計算して。

「あまり力を入れないで軽く投げる感じかな」

女子バスケットボールの計算が私のお仕事。