甘いキスと蜜の味【本編完結】

「…先生。」

私はただ、ただ

そう呟くしか出来なかった。

真っ白になったり、混乱したり

さっきからいそがしい私の頭の中。

天城先生は、はぁーっと

大きなため息をつきながら

「…花村、本当にごめんな。
今こんな事を言ってはいけない事も
こんな事をしてはいけない事も
十分わかってる。
…教師失格だとわかってる。
本当は来年の3月の修了式を待って…
担任を外れるのを待ってから…
お前に想いを伝えるつもりだった。」

「…えっ!?」

何を言ってるのかわからない私に

「…まだ、内々の話だから
正式な発表は年明けだけど
…俺な…来年3月末日をもって
このA学院高を辞めるんだ。」

と、さらに衝撃な言葉が降り注いだ。

「…えっ!!天城先生!?
どう言う事?…辞めちゃうの?」

唖然となった私は

抱き締められながら先生を見上げた。

すると

先生の腕のチカラが少し緩まった。

見つめ合い、視線が絡み合う。

「…辞めちゃうの?どうして?
先生じゃなくなるの?」

もう、敬語になんてなってない。

でも、今はそんな事より

先生が辞めちゃう事が信じられなくて

私は先生のシャツをギュッと掴んだ。

何でだろう…。

なぜか、私の目から

涙がじんわりと滲んできた。

先生は不安そうな表情を浮かべながら

私の頭に手を置いた。

「…花村…。
その涙は…俺に少しは
チャンスがあると思っていいのか?
それとも、やっぱり迷惑だったか?
俺を軽蔑したか?」

私は先生の瞳を見つめたまま

首を横に振った。