逆走チルドレン

「って感じですね。」
話し終えると、先輩は懐かしいなと呟いた。
一年も日は経って無いんですよ、先輩。
「あ、夕日。」
長く話しているつもりはなかったけど、日は暮れていた。
「お、いい感じに飴がある。」
ポケットをごそごそと漁って、先輩は飴を嬉しそうにとりだして、私にくれた。
「サイダー味。」
あの日と同じように、夕陽に照らす。
茜色に染まる。
やっぱり、綺麗。
先輩を見ると、優しい笑顔で飴を見ている。

胸が高鳴った。
心臓が急速に動き出す。
苦しいな。

「え、エコ?顔が真っ赤だぞ!?」
「だ、大丈夫です!夕陽とか夏とかのせいです!」
おデコに手を当てないで欲しい。顔が近い。


好き。


想いが溢れて、困ってしまう。
先輩のこと、好きなんだ。
気づいてしまった。


「先輩。」
「ん?」
「私、演劇部に入ってよかったと思います。」
「……そっか。俺もエコが入ってくれて嬉しいよ。」

勘違いしちゃいますよ、そんなこと言われたら。


なんだか、むずかゆくて、どうしようもなくて。

とりあえず、茜色ドロップを口に投げ入れる。

もうちょっと仲良くなって、もうちょっと演技が上達したら、いつかこの思いを伝えよう。

気づいたばかりの初恋を。