「うっ……うぅ」
涙が先程から止まらない。こぼれてはあふれて、止まろうとしない。
校舎裏の木の前で、私は泣きじゃくっていた。



好きです。好きなの。好き。

大好き、大好き……大好き。

もう、伝える事が出来ない言葉。

沢山心の中で言ってきた。
でも、もう伝わらないんだね。

この思いもいつか朽ちて無くなるんだ。

大好き。

大好きなんだよ、大賀。

私はあなたのことが好きなんだよ。


たくさん、泣こ。
泣いて泣いて。
笑えるようになるまで。
二人のこと祝福できるまで。


『好きな人の幸せは私の幸せだもん』

偉そうなこと言って。
そう思えないくせに。

本当は隣にいて欲しいくせに。
自分と幸せになって欲しいくせに。

ごめんね、大賀。
応援するだなんて簡単に言って。


おめでとう。





「ふぁ……」

泣きつかれて眠くなってきた。
木に寄りかかって目を閉じる。

暖かい風が優しい花の香りを運んでくれる。

そのまま、夢の世界に誘われた。



大賀の夢をたくさん見よう。
いっぱいいっぱい。


目が覚めたら、また新しい恋をするんだ。









「ったく……なんてとこで寝てるんだよ。」

「お前のこと気になって、佐々木さん断ってきたよ。」

「ぐーすか寝やがって。責任、とれよ。」



そういって大賀は愛花の隣に座り、目を閉じた。






空は青くて澄んでいた。