「……伊藤。……小田。……岸田。……熊川。」


先生が順に生徒の名前を呼んでいく。


「……九ノ瀬。」
「はーい。」
「こら九ノ瀬。返事は短く。」
「………はいっ。」
「今度からそれな。よし、次ー、笹岡ー。」



………かわいすぎる。何あの返事……!!!!!!
あ、やば。また顔が……。



必死に頬をぐにょぐにょしていると、自分の番
が近づいてきたのであわててやめる。



「……松本。……三木。」
「……美崎。」
「はい…。」
「……桃川。「……矢部。」



私は机に頬杖をついて、斜め前の席の九ノ瀬君を見つめていた。


九ノ瀬君は、隣に座っている男の子とおしゃべりに夢中だった。



「…でさー。そいつが激強いわけ!」
「えー!?まじか!オレそこまでいける気がしな   い…。」
「大丈夫だってー、智希ならぜってーいける!  この岸田、保証する!」
「ほんとー?負けたら責任とってよ?」
「いや、そこは自己責任っしょ。」



……多分、ゲームの話かな。
そういや、弟もゲームの新作が出たから買って!ってお母さんにおねだりしてたような…


「こらー、そこーうるさいぞー。」
「あー、すんませーん。」



全然悪びれた様子もなく謝る仕草が可愛くて、
私は顔をこれでもかというほど押さえつけ、笑ってなるものか、とふんばった。


すると、ふいに九ノ瀬君