校庭から、部活をしてる人たちの声が聞こえてくる。
日がどんどんかたむいて、教室はオレンジ色に染まっていく。
………そろそろかな……。
そっと窓際の席に行って腰をおろす。
外から入ってくる風で乱れた髪を整え、視線を戻すと向こうの方から走ってくる集団が見えた。

「………いた。」
黒に水色のラインの入ったジャージを着て、仲間と楽しそうに喋りながら走っている。オレンジ色の光に照らされて、笑顔がはっきり見てとれた。
かっこいい……。
ただでさえ顔がほてっているのに、太陽のせいで余計に熱くなってしまう。
あわてて頬をおさえてもう一度グラウンドに目をむける。
集団はもういなかったけれど、私の目にはさっきの笑顔が焼きついていた。
あっというまに日が沈んで、暗くなった空には一番星が光りだしていた。

「………帰ろうかな。」

大きすぎるひとりごとをつぶやいてから、荷物を持った。


ドアを閉める音が、からっぽになった教室に静かに響いた。