いきなり過ぎて心が理解できてない。
ここを離れる?
龍の世界?
龍の世界で私はどうなるの?
不安に身体がブルッと震えた時――。
「正直な話……私は君が“触れられた存在”であったことを嬉しく思ったよ」
「え…」
「不謹慎だよね。すまない。けど、これで“龍化を防ぐため”っていう名目で沙織を連れて行ける…」
千早様の声は、本当に嬉しそうだった。
「基本的に人間を向こうへ連れて行くのはルール違反だけど、龍化の場合は許されるんだ」
少し照れたように千早様はこう続けた。
「沙織は私の条件にピッタリの女の子だし、向こうで私の妻にならない?ダメかな?」
条件に、ピッタリ…?
それは、前に言ってたあれのこと?



