白龍様は相変わらず黙ったまま塒山神社に降り立った。

足が地に着いても私を降ろすことなく、スタスタと池に向かう。


やっぱり池から行くの?


池の前に来ると白龍様は水に足を浸し、ふわりと水面に乗った。

穏やかに風が舞う。


ゾクリとした。


そんな……嫌だよ。


千早様…!!


首を動かして千早様を探す。


「助けてっ…千早様」


小さく呼んだ時――。




「待て白龍」




凛とした千早様の声がした。


見回すと、社殿の屋根に座っている千早様を見つけた。


「貴様、何をしている。その娘を置いて去れ」


あ…れ…?

本当に、千早様?


なんか、口調が少し違うような…。

それに声も、どすが利いてる。