問い掛けたかったけど、狡い私はすでに手を伸ばしていた。 「伊吹様っ…」 「沙織…」 手が触れ合い、引き寄せられ、抱きしめ合う。 その最中(さなか)においても、天は私達を上へ上へと引き上げる。 永遠に感じられた。 この瞬間。 そして、私の魂は伊吹様を道連れに天へ辿り着いた。