「千早様!!来ちゃダメです!!伊吹様も、戻って…!」
大声で叫んだ時、千早様の背後に紫の影が見えた。
その影が千早様を蹴り飛ばし、落下させる。
「あれって、シトリ様!」
紫の影はシトリ様だった。
良かった…。
ありがとうございます、シトリ様。
ついでに伊吹様も蹴り落としてくれないかとも思ったけど、すでにシトリ様の姿はなかった。
「伊吹様…」
未だ諦めずについて来る伊吹様。
諦めるどころか、どんどん私に近づいてきてる。
「沙織っ!!」
伊吹様が私に向かって手を伸ばした。
私も自分の手を伸ばせば、触れ合える距離。
………伸ばして、いいのかな?
迷う私に、伊吹様はハッキリこう言った。
「沙織、ずっと一緒だ」
力強くも優しい、あなたの声。
……いいんですか?
私なんかがあなたの手を取ってしまって、本当にいいんですか…?



