「え…?」
突如私の身体が、自分の意思に反して宙に浮いた。
「な、なんで…!?」
「沙織!!」
どこにも行かせまいとするように千早様が抱きしめる力を強くする。
どうなってるの…?
海やプールに潜って力を抜けば人間の身体は自然と上へ浮くようにできてるけど…。
今、私の身体に起こっていることは、丁度それと似ていた。
………もしかして、これが…。
「どうやら、お迎えが来たみたいですね」
タイミングよく朧様が呟いた。
やっぱり、これが「お迎え」なの!?
この上に引っ張られる感覚が!?
なんか、かなり強引じゃ…?
「刻がないとはそういう意味か…。沙織、君を天になどやりたくない」
「千早様…」
私も、まだ逝きたくない。
まだ二人に伝えてないことがある。
言わなきゃ!
今…!!



