お風呂場は最上階の六階にあった。
男湯と女湯に分かれているから、なんだか旅館へ泊まりに来た気分になる。
中はもちろん、旅館気分を裏切らない広さ。
しかも浴槽に一番近い壁全面が透明なガラス張りになっていて、外の景色がよく見えた。
「わあ~…綺麗」
少し熱めのお湯に浸かりながら、どこまでも続く緑の山々を眺める。
今は丁度夕方だから、赤く燃える夕日が目に眩しい。
こっちの世界にも太陽があるんだよね…。
本当に不思議。
「ほら、るり。目をつぶって下を向け。かけるぞ」
「はーい」
浴槽の外では澪様が三つ子ちゃん達の髪を順番に洗ってあげている。
どうやらこれが澪様の日課らしい。
「次、まり。おいで」
「うん」
こうしてるりちゃん、まりちゃん、えりちゃんの順に洗い終えると、澪様は一息ついて私のいる浴槽に入ってきた。



