「悠斗、何をしているのだ?」


澪様がまりちゃんの服を綺麗に拭いている悠斗さんに目をとめた。


「ああ、ちょっと…まりが服汚しちゃって」


「まり……。あまり悠斗の手をわずらわせるでないぞ?」


「はい……ごめんなさい」


しゅんとして謝るまりちゃんに澪様は優しく言った。


「怒ってはおらん。悠斗、貸せ。私がやろう」


「えっ!?でも」


「いいから。どうせ、まだろくに食べていないのだろう?」


やっぱり澪様もわかってるんだ。

悠斗さんの世話好き。


澪様は渋る悠斗さんからちょっと強引に台布巾を奪取して、まりちゃんの服を拭き始める。


それから私の隣の席に戻ってきた悠斗さんは、澪様のことを見つめて自慢げに笑った。


「な?澪様は優しいだろ?」


お世辞抜きで語る悠斗さんの笑顔が眩しい。


「俺、ここでいろんな龍神様に会ったけど、やっぱり澪様が一番好きだな」