台布巾を片手に立ち上がる悠斗さん。
見兼ねて私も立ち上がった。
「あの!私が拭きますよ。悠斗さん、落ち着いて食べて下さい」
私ならもう、ほとんど食べ終わってるから。
そう付け足したけど悠斗さんは愛想のいい笑みを浮かべて、こう言った。
「いいよいいよ。俺、慣れてるし。沙織ちゃんはお客さんなんだから座ってて」
笑顔でそんなふうに言われたら素直に引き下がるしかない。
私がしぶしぶ席に座った時だった。
澪様が食堂にやって来た。
「沙織……貴女もここにいたのですか」
私を見るなりムスッとした表情になる。
「あ!ミオさまだ!」
「ミオさまもごはん~?」
「いや、お前達の様子を見に来たのだ。今日も元気だな」
急に澪様の表情が変わった。
三つ子ちゃん達を見つめる眼差しは優しく、穏やかで、母性的。
口調も柔らかいし、つっけんどんな雰囲気が消えている。



