それから、食べ終わった私は悠斗さんについて部屋を出た。
玄関ホールを通り過ぎて右側の廊下に入り、階段へ。
階段……かと思いきや。
「エスカレーター!?」
目の前に現れたのは、スーパーなどで有りがちな大人二人分の幅のエスカレーター。
「驚いた?もとは階段だったんだけどさ、この屋形って六階まであるから上まで上がるのキツくって、みんなで澪様におねだりしたんだよな。エスカレーターが欲しいです!って」
「六階まで階段は……確かにきついですよね」
それにしても澪様、本当に悠斗さん達には甘いんだね…。
黄金の屋形もおばあちゃんのためにエスカレーターにしてくれないかな?
人間が発明したありがたい自動階段でゆっくり二階へ移動しながら、若月様に今度さりげなく提案してみようかな、なんて考える。



