「ありがとうございます…」
あれよあれよという間にちゃぶ台がセッティングされ、座布団は私のお尻の下。
目の前には美味しそうな日本の朝の定番メニュー、ご飯と味噌味と焼き魚。
「いえいえ。お客さんにこれくらいするのは当然…あっそうだ!君、人間なんだってね。名前きいてもいい?俺は悠斗(ゆうと)。二十二歳独身。彼女募集中ですっ」
「わ、私は、沙織です。歳は十七」
会話の流れで私まで歳を言ってしまった。
独身を主張するってことは、悠斗さんは人間なのかな。
龍神様に結婚の概念はないみたいだし。
「十七ってことは高校生?今までどこの屋形にいたの?」
「黄金の屋形です」
「ああ~。黄龍の。あ、どうぞ食べて」
勧められたので遠慮なくいただくことにした。
箸を手に取り「いただきます」と小声で呟く。



