「失礼しま~す」
突然、扉を開けて男の人が入ってきた。
本当にいきなりだったからビクリと大袈裟な反応をしてしまう。
「あの~、朝飯持ってきたんで、良かったらどうぞ」
笑顔で話し掛けてきた彼の第一印象は爽やかな好青年。
見た目は二十歳くらいかな?
人間?それとも龍神様?
見知らぬその人の手には朝ごはんを乗せたお盆が。
「あ、ありがとうございます!いただきます」
慌ててお盆を受け取ろうと立ち上がるけど、足が…足が痺れた!
唇を噛んで固まった私に、彼は小首を傾げた。
「もしかして、立てないの?」
「足が…痺れちゃって…」
「あはは、ずっと正座してたの?座布団でも敷けば良かったのに」
すると彼は私の前にお盆を置いてから部屋の押し入れを豪快に開けた。
「家具類はここに仕舞ってあるからさ、好きに出していいと思うよ。おっ、ちゃぶ台発見!」
慣れた様子で座布団とちゃぶ台を引っ張り出し、私のところへ持ってくる。



