畳に正座して目を閉じた。
ちょっと、自分のことを整理してみよう。
私は前世、桜っていう女の子で、伊吹様のことが好きだった。
本当に大好きだった。
でも、前世の記憶を持たずに生まれ変わった今の私は、千早様に恋をした。
前世の記憶を思い出さなかったら私は確実に千早様を選んでいたと思う。
けど…。
「伊吹様を、突き放せないよ…」
私の前世が私を縛る。
割り切ってしまえば楽なのに、私は弱いからそれができない。
「最低だな……私」
千早様にも伊吹様にも嫌われたくない。
二人を求めてしまう自分が浅ましい。
「うぅ……」
この状態のまま、しばらくグルグルと考えていたけれど、行き着くところは同じ。
どちらを選べばいいのかわからない。
だんだん正座した足が痺れてきた。
一度、足を崩そう。
そう思って足をゆっくり動かした時だった。



