「わかりません……。どうすればいいのか、よく…わかりません…」
素直に本音を漏らしたら鼻で笑われてしまった。
「フッ、わからないか。まあ、良い。己がどうしたいのか、ここで静かに考えるんだな。そのために来たのだろう?」
「はい…」
「ならば、この部屋を貸してやろう。好きに使え」
そう言ってシトリ様は私に背を向け、扉に手を掛ける。
「シトリ様…?」
「私はしばし出る。本当に久しいからな。家臣どもの顔をゆっくり眺めるのも一興だ」
なんて言ってるけど、気をきかせてくれたんだと思う。
シトリ様が出て行って、私は殺風景な部屋に一人きりとなった。
幸い、ここは静かだ。
自然と心が落ち着く。
私が考えるべきことは……千早様…伊吹様のこと。



