「え?シトリ様は…澪様のお父さん?」
「然様。澪は私の子だ。母が誰だかは知らんがな」
ああ、成る程。
だから力関係が
「シトリ様>澪様」なんだね。
龍神様達がどっちの命令をきこうか戸惑ったのも少し納得できる。
「父上、ここには戻って来ないお約束では?毒龍は毒龍の住まう地へお帰り下さい」
「毒龍の塒は荒れている。人間が立ち入れる土地ではないのでな。こうして実家に戻ったわけだ。たまの里帰りも悪くなかろう?」
「里帰り…。その娘を連れて、ですか」
氷のような眼差しが私に突き刺さる。
「父上、何を企んでいらっしゃるのです?」
「失敬な。私は純粋な好意から沙織に手を貸しているだけだ」
純粋な好意?
シトリ様、さっき私のことを暇潰しって言ってたような…。
まあ、いっか。



