「決めた。共に来い、沙織。面白そうだからな。しばし匿ってやろう」 「あっ」 グイッと腕を掴まれる。 シトリ様は私を引き寄せながら障子を開けた。 「沙織!」 私を呼んで、追いかけてこようとする千早様。 けど、私は…。 「来ないで!!」 厳しい口調で、千早様を睨みつけた。 「少しの間、一人にさせて…」 開かれた障子から夜の風が吹き込んでくる。 固まってしまった千早様と伊吹様を残して、私はシトリ様に掴まり屋形を飛び出した。