身支度を整えた私と伊吹様は最上階の広間へ赴いた。
そこにはムスッとした千早様に、成り行きを楽しんでいるシトリ様、迷惑そうな表情の静寂様がいた。
さよ子さんはいない。
多分、寝てるんだろうな。まだ夜だもん。
「沙織、どういうことかな?」
早速、千早様が口を開いた。
「えっと…」
「伊吹に身体を許したのかい。もしくは強要さ――」
「違います!伊吹様は悪くありません!私がっ……私が許したんです!悪いのは、私なんです」
そう。
悪いのは私。
二人の間で揺れ動くこの心が、二人を傷つけてしまう。
「…………脅されたのか?」
「え?」
ものすごく低い千早様の声が響いた。
「抱かれなきゃ血をやらんとか言われて脅されたのか!?」



