「文ちゃん、走ったら滑るよ!」
「へへ、大丈~夫!」
ひざ小僧まで水がくるから、着物の裾をたくし上げて近づいてくる。
私も同様に裾を上げて、ヒンヤリした水の冷たさを楽しんでいた時だった。
「きゃ!?」
いきなり目の前で文ちゃんが転倒した。
「文ちゃん!?」
まだそれ程深くないから転んでも溺れはしない。
そう思っていたのに…。
「きゃああっ!!!」
信じられない光景だった。
倒れた格好のまま、文ちゃんが引きずられるようにして川を逆流していく。
「う…そ……文ちゃん!!」
悲鳴を上げながら物凄い速さで引きずられていく文ちゃんを呆然と見つめていると、自分の足首に違和感を感じた。
「な、何!?」



