「伊吹、様…」


「黙れ…!」


「んっ!?」


強引なキスが降ってきた。

顎を掴まれ、抵抗できない。


「はぁ……沙織…」


首筋に唇を降下させながら、着物の内側へ侵入しようとする伊吹様の指。

気づいた私はビクリと全身を反応させた。


「あっ…いや!やめて伊吹様!伊吹様!!」


「奴には許したのだろう?ここを…」


着物の上から大事な部分を撫でられた。


「いやぁあ!!!!」



パンッ――。



叫んだ瞬間、同時に手が出た。

私は伊吹様の頬に平手打ちをお見舞いしてしまった。


「…っ……」


伊吹様の動きが止まる。

私に覆いかぶさったまま、数秒間の沈黙。


叩いてしまったことを少し後悔しながら伊吹様の反応を待っていると、私の頬にポタリと水滴が落ちてきた。