「伊吹様には、関係ない…です」
「関係ないだと?」
伊吹様は私の手からコップをもぎ取り、畳に置いた。
「お前のことで、俺に関係ないことなどありはしない!」
「きゃ!?」
抱え上げられた私は、敷いてあった布団の上に放り出された。
何をされるのか身構えていたら、伊吹様は私の頭に手をやった。
「見せろ。お前の記憶を」
言われた瞬間、頭の中で千早様との思い出が物凄いスピードで再生されていった。
出会いから、今に至るまでの全て。
その中にはもちろん、あの夜の思い出もあって…。
「っ!?」
伊吹様が突然、私から手を離した。
「お前……本当に、奴に捧げたのか…」
驚愕した伊吹様の表情。
彼は、見ているこっちが苦しくなるほどの切ない吐息をこぼした。
「この身体を…心を……本当にっ…」



